久々になってしまいました…「30分で書いてみよう!」と思い立って書きはじめたところ、40分でこんな話になりましたーー。
あんまり時間軸とかまじめに考えていませんが、いちゃついてます。ほんとに盛り上がりもオチもない話ですが、よろしければ!
『前髪と鏡』
鏡の中に映る自分の姿を見て、リディアは何度目かの長いため息をついた。
前髪を指で引っ張るが、それもむなしく、毛先は眉毛の上にくるりと戻るのであった。
伸びすぎた前髪を自分で切ってみたところ、見事に失敗してしまった。髪の毛に隠される顔の範囲が少し広くなっただけにも関わらず、自分の表情は見事に幼く見えるのであった。
若く見えることを誇らしく思う者がいることは知っている。しかしリディアは年相応の女性に見られたいと思っていた。それは、七歳児から急速に成長したために、心の成長が追い付いていないと自分で感じることも影響していたが、もうひとつ、気がかりなことがあった。
「あれ、髪の毛切ったのか?」
振り向くと、目ざとく変化に気付いたエッジが、楽しそうな声で指摘した。リディアはうつむくついでのように、うなずいた。
「うん…ちょっと切りすぎちゃって」
鏡をもう一度振り返り、無駄と思いながらも前髪を下に伸ばしてみる。癖毛は彼女をあざ笑うかのように、眉毛の上の定位置に落ち着いた。もう一度前髪に手を伸ばすと、エッジの日焼けした手が優しく自分の手を包み込んだ。鏡の中で視線が合った。
「いいと思うけど。若々しくて、かわいい」
眉根を下げると、表情の変化がこれまでよりも大きく見える。前髪とは些細な一部なのに、なぜこんなに重要なのだろうか。リディアは思わず嘆息した。気がかりなこと。それは愛する男に子ども扱いされることだった。
「この年になって、かわいいってあんまりうれしくないよ」
「かわいいだけじゃないって、オレはよく知ってるけど」
鏡の中のエッジが不敵な微笑みを浮かべた。肩をつかまれて向き合わされる。彼がリディアの前髪をいつものようにかき上げると、ぱらぱらと数筋の髪の毛の束が額に落ち、その上に唇が寄せられた。短くなったから、額へのキスもいつもと勝手が違うのだ。彼のこの行為が好きだったのに、と思った瞬間、唇どうしが重ねられた。
「…んっ!」
突然のことでリディアの身体はよろめいた。違う。よろめくくらい、激しい口づけだった。大胆とも言える動きで舌が口内を侵食する。唾液が混じりあう音が静かな室内に響いた。
「はぁっ…」
ふと、鏡の中の自分の姿が目に入った。瞳は潤み、頬を上気させて、彼の口づけを受け入れ、応じようとする自分は、先ほどまでの幼い姿ではなかった。なんと形容すればいいのかわからないし、何よりも自分のこんな姿を眺めるのは恥ずかしい。
もう一度、鏡の中で彼と目が合った。細められた彼の瞳の中に鋭いものがきらめいたと思った瞬間、彼の身体が覆いかぶさり、ふたりで隣にあるベッドへ倒れこんだ。
「大丈夫、今は大人の顔してる」
意地悪な声の主は、リディアの頬を指の背でそっと撫でた。胸が高鳴り、身体の中心に熱が帯びる。全身が彼を欲しているのを感じた。
「…もう、ばか」
罵る言葉に、エッジは満足そうに唇の端を上げた。リディアは瞳を閉じて、彼が自分に触れ、交わる感触に身を委ねることにした。
end
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あんまり時間軸とかまじめに考えていませんが、いちゃついてます。ほんとに盛り上がりもオチもない話ですが、よろしければ!
『前髪と鏡』
鏡の中に映る自分の姿を見て、リディアは何度目かの長いため息をついた。
前髪を指で引っ張るが、それもむなしく、毛先は眉毛の上にくるりと戻るのであった。
伸びすぎた前髪を自分で切ってみたところ、見事に失敗してしまった。髪の毛に隠される顔の範囲が少し広くなっただけにも関わらず、自分の表情は見事に幼く見えるのであった。
若く見えることを誇らしく思う者がいることは知っている。しかしリディアは年相応の女性に見られたいと思っていた。それは、七歳児から急速に成長したために、心の成長が追い付いていないと自分で感じることも影響していたが、もうひとつ、気がかりなことがあった。
「あれ、髪の毛切ったのか?」
振り向くと、目ざとく変化に気付いたエッジが、楽しそうな声で指摘した。リディアはうつむくついでのように、うなずいた。
「うん…ちょっと切りすぎちゃって」
鏡をもう一度振り返り、無駄と思いながらも前髪を下に伸ばしてみる。癖毛は彼女をあざ笑うかのように、眉毛の上の定位置に落ち着いた。もう一度前髪に手を伸ばすと、エッジの日焼けした手が優しく自分の手を包み込んだ。鏡の中で視線が合った。
「いいと思うけど。若々しくて、かわいい」
眉根を下げると、表情の変化がこれまでよりも大きく見える。前髪とは些細な一部なのに、なぜこんなに重要なのだろうか。リディアは思わず嘆息した。気がかりなこと。それは愛する男に子ども扱いされることだった。
「この年になって、かわいいってあんまりうれしくないよ」
「かわいいだけじゃないって、オレはよく知ってるけど」
鏡の中のエッジが不敵な微笑みを浮かべた。肩をつかまれて向き合わされる。彼がリディアの前髪をいつものようにかき上げると、ぱらぱらと数筋の髪の毛の束が額に落ち、その上に唇が寄せられた。短くなったから、額へのキスもいつもと勝手が違うのだ。彼のこの行為が好きだったのに、と思った瞬間、唇どうしが重ねられた。
「…んっ!」
突然のことでリディアの身体はよろめいた。違う。よろめくくらい、激しい口づけだった。大胆とも言える動きで舌が口内を侵食する。唾液が混じりあう音が静かな室内に響いた。
「はぁっ…」
ふと、鏡の中の自分の姿が目に入った。瞳は潤み、頬を上気させて、彼の口づけを受け入れ、応じようとする自分は、先ほどまでの幼い姿ではなかった。なんと形容すればいいのかわからないし、何よりも自分のこんな姿を眺めるのは恥ずかしい。
もう一度、鏡の中で彼と目が合った。細められた彼の瞳の中に鋭いものがきらめいたと思った瞬間、彼の身体が覆いかぶさり、ふたりで隣にあるベッドへ倒れこんだ。
「大丈夫、今は大人の顔してる」
意地悪な声の主は、リディアの頬を指の背でそっと撫でた。胸が高鳴り、身体の中心に熱が帯びる。全身が彼を欲しているのを感じた。
「…もう、ばか」
罵る言葉に、エッジは満足そうに唇の端を上げた。リディアは瞳を閉じて、彼が自分に触れ、交わる感触に身を委ねることにした。
end
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nona様
返信削除こんにちは。お邪魔させて頂いております。m(__)m
今回もとても綺麗なお話ですね~(^-^)
短時間でこんなにラブラブなエジリディのお話を書かれるnona様、すごいです!
これからも頑張って下さい。o(^o^)o
りょう様!いつもありがとうございますー。コメントすごく嬉しいです!
返信削除前回の更新から少し時間が空いてしまったので、更新のハードルを下げるために、30分で!という制限を設けてみたのでしたー。結果、書き足したいと思うところがたくさんありますが…(笑)
これからも引き続きよろしくお願いします☆